人柄選挙 2020 10 31

 今回のアメリカ大統領選挙は、
過去の選挙に比べて、不思議な感じを受けます。
 トランプ氏の行儀の悪さと、
バイデン氏の人柄に焦点が当たる「人柄選挙」になっているからです。
 本来であれば、政策に焦点が当たるべきですが、
今回の選挙は、候補者の人格や人柄に焦点が当たっています。
 もう少し政策的な議論をすべきでしょう。
たとえば、グローバル化の是非については、どうでしょうか。
 アメリカは、1990年代から、このような動きになっています。
国内の工場を閉鎖して、メキシコに工場を建設すれば、企業業績が向上する。
 たとえ売上高は変わらなくても、人件費が減るので、
企業利益は増えて、株価は上昇します。
 これで儲かるのは、経営陣と株主だけです。
労働者は、どうなるのか。
 このような動きは、さらに加速します。
国内の工場を閉鎖して、中国に工場を建設する動きとなったのです。
 これにストップをかけたのが、トランプ氏でした。
「メキシコや中国に工場を移転させるのは、けしからん。
工場をアメリカに戻せ」という主張です。
 もちろん、うまく行っていない様子ですが、
グローバル化に対して、一石を投じたのは、間違いないでしょう。
 このようなグローバル化の是非については、
民主党の候補者がサンダース氏だったら、大いに盛り上がったでしょう。
民主社会主義のサンダース氏の主張を聞きたかったでしょう。
 序盤戦の戦いでは、サンダース氏に勢いがあったのですが、
コロナ禍によって、撤退せざるを得なくなったのです。
 サンダース氏の選挙活動は、オンライン方式ではなく、
選挙集会で支持者と対話するという戦法だったからです。
 もちろん、今回の選挙においても、
本当の主役は、サンダース氏です。
正確に言えば、サンダース派でしょうか。
さらに、民主党左派というか、急進派です。
 政治評論家の解説によれば、
仮にバイデン氏が当選しても、「使い捨て」になるそうです。
選挙が終われば、「用済み」であり、本来の主役が出てくるという。
つまり、サンダース派や急進派が主役になるということです。
 サンダース派や急進派にしてみれば、「人格」だけで、
大統領を4年もやってもらっては困る。
我々の政策は、急を要するということでしょう。
 もちろん、共和党も似たようなことがありました。
本来は、共和党穏健派や共和党主流派が大きな存在でしたが、
トランプ氏を中心とする「トランプ派」と、
ペンス氏を中心とする「保守派」が台頭して、
「共和党主流派」と言われた人たちの存在感が小さくなってしまいました。
民主党も、同じような状況であり、かつての主流派は勢いを失っています。
 つまり、民主党は、勢力が左派にシフトして、
共和党も、勢力が保守派にシフトしています。

Flyover country 2018 10 6

「超一極集中社会アメリカの暴走」(小林由美)という本には、
このようなことが書いてあります。
 アメリカ国民は、富の集中や金権政治にうんざりしています。
労働者の味方だったはずの民主党が、
クリントン政権の頃から都市の進歩派富裕層を主要な資金源に取り込み、
彼らの利益を代表するようになりました。
 アメリカは、「Flyover country」(上空を飛ぶ国)になって、
つまり、権力者も資金も、東海岸と西海岸を飛行機で往復するだけで、
その空路の下にある大陸中央部は、完全に無視され、馬鹿にされている。
中西部や南部の労働者は、生活困窮の原因をそのように認識していました。
(引用、以上)

























































スマートフォンのトップページへ